いやーこれ結構名著です。
面白いのでサクッと読めますしオススメですね。
久しぶりにヒットの本です。
面白いところをピックアップしてご紹介します。
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間柄の文化
作者は本書の冒頭で日本の文化を「間柄の文化」と特徴付けている。
「自己中心の文化」の住人であれば、「私はそんなの無理」「私はイヤ」「私は納得できないから拒否する」「わたしの義務はもう果たした」「私の勤務時間はもう終わった」と、過剰労働を簡単に拒否できる。拒否しないのは報酬が非常に高いなど、自分にとってメリットが大きい場合だけだろう。
ところが、「間柄の文化」の住人は、そのような自己主張は自分勝手に思えて、なかなかできない。どんなにきつくても「自分だけじゃないから」「みんなも大変だけど頑張ってるんだし」「先輩や仲間に負担をかけられないから」「自分が拒否したら仕事が回っていかないし」「お客がいるのに、ここで買えるわけにはいかない」などと思い、無理だという気持ちや拒否したい気持ちにブレーキがかかってしまう。
すごいわかる。僕も残業をめっちゃやってた時は「他の人もやってるからなー。」とか思っていました。
ただの幻想だったんですけどね。
今では残業やったほうが会社の利益も自分の利益も下がるのがよくわかります。ただ日本の残業に関しては確かにこの「間柄の文化」というものを壊していかないとダメでしょうね。
会社のシステムもそうだけど「忖度」して物事決めたいことが大事。
日本人の曖昧な言動
これもいわゆる日本人らしさです。
ひとつひとつの文句は、あやふやな気持ちや、自分の言ったことの正しさを疑う気持ちや、相手の反論に賛成しようとする気持ちがこもった注釈をつけて、わざと意味が曖昧にされる。(後略)
だから会議が終わらない。
日本人は人の意見を聞きすぎるんですよね。
人の気持ちを考えることが悪いとは言いませんが、あまりにも考えすぎて窮屈な生き方になっている人は多いですね。
僕がよくわからないのは頼まれたら断れない人。しかも自分がやりたくないことを平気で引き受ける。
飲み会とかで顕著に現れます。同僚同士の親睦か何か知らないですが、行きたくもない飲み会に「断ったら仲良くしたくないと思われるかも」「断ったら傷つくかな」とか訳のわからない理屈を考えて断れなくなる。
そんなもの優しさでもなんでもないと思います。
感情労働という概念。
これ面白かったんですが、労働の概念に「感情労働」というものがあるらしいです。
端的に説明すると、感情の表現に関して仕事上「これが正しい」という規則に則って仕事をすること。
つまり、スチュワーデスがお客様に対して接する態度や感情のことです。
これって看護師の世界にも当てはまります。患者さんにはいつでも患者の心に寄り添って怒らずに対応する。もちろん悪いことではないですが、この感情を偽って働くのはかなりのストレスになります。
僕も現役の看護師ですので、患者さんと接することがあります。
病気にかかっている人はそれぞれすごく不安定な状態ですので、精神的に不安定な人ももちろんいます。しかし時にクレーマーとした思えないような態度を表す患者もいます。
そういう時でも冷静に患者の思いに寄り添って接しなければなりません。
それは感情の偽りが前提にあってできるものです。
心が病む人が多いのもうなづけます。
ネットの誕生によってますます感情労働をしいられるようになった。
これは最初反対じゃない?と思いましたが、内容を読んで納得。
相手の反応が見えないことも、ネット上で攻撃衝動がむき出しになりやすい理由言える。対面の場合と違って、相手の困った様子や傷ついた様子が見えないので、相手のことを配慮せすに、つい攻撃的な発信をしてしまいやすい。
皮肉なことに「間柄の文化」である日本人は面と向かってのクレームというのは少ないのかもしれませんが、ネットの力によって顔が見えなくなると激しい発言が多くなるのだという。
確かに炎上もしかり、匿名という状況であれば言いたいことを言う人はいるんですよね。
まぁしかし、今後対面での接客というものは未来少なくなっていくと思うので、こういうクレームも減っていくんじゃないかな。
自動運転で事故がなくなるように、人為的なミスというものも少なくなっていくはずですし。
そういう意味でもAIや機械化、自動化は進めていくべきだと思います。
最後に言えること。
サクッとご紹介しましが、題名の「おもてなし」という残酷社会。ってすごくいいネーミング。言い得て妙ですね。
日本人は忖度して合わせようとか、曖昧な表現をしたりとかスッキリしない関係性って多いんですよね。
仕事で気を使い、人間関係で気を使い。
本当のストレス社会に身を置いていると息苦しくてしょうがないです。
本書には「おもてなし」に関する日本の息苦しさを色々な側面から記してあり、この社会の息苦しさってこういうことなんだなと理解させてくれます。
面白いですよ。
それでは、月見水太郎(@tuki_mizu)でした。