「隠れネガティブ」という言葉が面白く感じふと書店で手を取って中身も確認せずに購入してしまいました。
山口まみ氏は20代で単身ニュージーランドに渡り、国立オタゴ大学で心理学を専攻博士号を取られている方だそうです。
本書の中でネガティブというものは抑圧することでタチの悪い存在に成ると語られています。この「隠れネガティブ」という概念がとても面白いんです。
日本人は特にこういうネガティブ思考を極端に嫌いますが、このネガティブと上手に付き合い理解していくことが大事だということがわかります。ネガティブを感じている方必読の一冊となるでしょう。
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ネガティブを受け入れる
人間には必ずポジティブな一面と、ネガティブな一面が必ず両方あって、それが当たり前だと筆者は言っています。
ネガティブな一面を人間は隠しがちです。ネガティブな面が見えると人間はその上にポジティブを乗っけて無理矢理に良くしていこうとしてしまいます。しかし、それがネガティブを深い底に置き去りにして良くない効果を及ぼすのだそうです。
本書が提案するのは、ネガティブな感情を「抑圧」して、ポジティブな思考に切り替えることではありません。ネガティブな感情を「解放」して、あなたの中のポジティブなエネルギーを引き出すことです。
ネガティブとは自然にあるのもので、そのネガティブは抑圧する必要はないと、むしろ抑圧することで増大してしまう危険があるということです。
具体的な方法として
なんども言いますがネガティブ自体は悪くありません。ネガティブの扱い方次第で大きく変わるものなのです。
(前略)ネガティブな気持ちを感じた時は、「その場で抑圧せず認めてあげる」。ただそれだけのことで、すーっと解放されるのです。
(中略)
感情を解放するには、その体の部位に手を当てて、「今、私はこんなふうに感じているんだな」とその感情を受け止める。そして、その感情になんの批判も加えずに、寄り添うようにしてあげると、感情は徐々に解放されていきます。これは「フォーカシング」といわれる技法ですが、感情を解放する上で有効です。
ネガティブな気持ちになっている→ダメだそんなことは考えては=×
ネガティブな気持ちになっている→そうか今ぼくはそんな気持ちなのか=⚪︎
ということです。ネガティブという感情に何も意見せず、そういう状態にあることを理解する。ネガティブという感情に寄り添うことが大切なのです。
絶対ポジティブ主義の不安
ポジティブ至上主義。
いまだにポジティブは良いという風潮はあります。もちろんポジティブが悪いわけではありません。本書の中ではポジティブが強迫観念かすることを危惧しています。ポジティブが強迫観念化されるとどうしようもない状況ですら、「ポジティブであれ!」と思い、コントロールできない自分の感情にどんどん追い詰められます。その負の連鎖がどんどんフラストレーションを貯める結果になるのです。
これは本当思いますね。ポジティブが良かれと思っている人は特に自分の感情をコントロールできてないひとが多いように思います。ネガティブな感情に寄り添って自分を理解する事を放棄しているのです。
どうしようもない事に関しては、一度距離を置いてやり過ごす。「避ける」という行為も時として必要だと筆者は語っていますが、これが強迫観念化したポジティブな人にはできないのです。
メンタルヘルス障害の年間有症率が高いのはアメリカだと本書でも書かれていますが、ポジティブ至上主義のアメリカがのメンタルヘルス障害を起こしやすいというのもなにかうなづけます。
人間関係を期間限定で考えてみる。
本書では人間関係に関する考え方にも触れられていますが、この「期間限定」という考え方がものすごく共感できるのでご紹介します。
人間関係って仕事を引いては生活をしていく上でどうしようもなく付きまとってきますよね。ぼくも仕事柄沢山の人と毎日関係を築いていますが、どうしようもない人間関係ってないですか?
僕にもたくさんあります。
そんなときにポジティブに「人間って色々な考え方があるから仕方ないな」というふうに切り替えることも必要ですが、それ以前に「期間限定なんだ」というふうに考えることで気分がグッと楽になります。喉元過ぎれば、という諺がありますが、一時的なものという思いがあればどうしようもない人間関係も少しはストレスが無くなるはずです。
著者も言っていますが、
考えてみれば、私たちを取り囲む人たちとの関係は、すべて「期間限定」です。一生添い遂げる覚悟をしたパートナーであっても、いつか別れるときがきます。
これも当たり前なんですが、意識にないんですよね。期間限定の中でどう人と向き合っていくかということじゃないですかね。
あと、嫌われても良いんじゃないですか?と僕は思います。これもまた「期間限定」の中の一つの関係ですべての人間と分かりあわなくても全然問題ないと思います。というより、そういう思いでいた方が人間関係うまくいくものです。
「良い」「悪い」のレーベルを無理やり貼らない
これもある種思考のコントロールになると思いますが、良い、悪いを決めつけないということでネガティブな反応を起こさないようにするというのです。
本書では「渋滞」を例にとって書いてあります。「渋滞」は突如巻き込まれれば、自分の予定が変わり進まない状態にイライラすることでしょう。しかし、「渋滞」は事故みたいなものでそれ自体は個人的にはどうしようもない状態です。自分がどうしようもない状態に批判を繰り返し、嫌な気分を増幅させることは、自分で自分を罰しているようなものだと。
即座に「もう最悪!」というレーベルを貼ってしまうことがもたらす結果の方が最悪だ、ということにも気づいて欲しいのです。
この最悪の結果を招かないためにも、レーベルを貼らないということが大事であり、そのための思考のコントロールが必要になる、ということでしょう。
月見的(@tuki_mizu)見解
不安というものは人生につきものです。
不安というものは結局思考に基づくもので自分の中でコントロールできるものなのですが、「隠れネガティブ」はそれを許しません。
本書では不安以外にも「仕事」「恋愛」「人間関係」「お金」と様々な分野をネガティブ、ポジティブという思考から捉えて書いてあります。どんな分野であれこの思考は付いてきます。人間誰しもがもっているこのネガティブとポジティブという思考、どう付き合っていくのかという手引きになる一冊です。
「隠れネガティブ」という面白い概念を皆さんもぜひ体験してみてください。
簡単な思考のコントロールで自分を変えれるかもしれません。
それでは、月見水太郎(@tuki_mizu)でした。