「運を創るもの」と銘打ったニトリホールディングスを一代で築いた似鳥昭雄氏の自伝本。
道を切り開くのはいつだって行動だということの教科書みたいに一冊です。
最近本のアウトプットが少なくなっていたので今年に入って読んだ本の中で面白かった一冊をご紹介しときます。
どん底で自分にどれだけ投資ができるか
72年に株式会社を設立したニトリは2号店から近距離に大型対立家具店が経ってしまいます。
結果は売り上げが激減。資金繰りは悪化の一途をたどったそうです。そんな倒産の危機に瀕した状態で似鳥氏のとった行動が、
憂鬱な日々が続く中、家具業界のコンサルタントを務める人物から、米国の家具店を視察するセミナーの話を持ちかけられた。苦境を脱出するため、わらにもすがる気持ちで50人あまりの同業者などと視察に参加した。費用は40万円。懐事情を考えると、厳しかったが、何とか工面した。27歳の時だ。
ヘビー級のどん底にあった似鳥氏が起こした行動は、40万もつかって自分への投資。これ結構すごいことですよね!?
この時のアメリカ視察で日本とアメリカの家具の売り方の違いに皆驚いたのですが、参加者のほとんどが「米国と日本は違う世界だ…。」という見解の中、日本での新しい家具の売りかたを考えたそうです。
どん底にいたからこそ、この貴重な体験を情報を一つ残らず自分の中に落とし込み、その後のニトリの飛躍的な発展のために活用できたんだろうと思います。
しかし、赤字経営の中金になるかはわからない、自分への投資を行った似鳥氏の行動力に脱帽と言わざるを得ません。
当たり前を排除する
成功には必ずと言っていいほどトライアンドエラーがつきものです。しかし、なかなか人は今までのあたり前、常識に縛られるところがあります。
しかし、似鳥氏はそのあたり前をサクッと捨てれる人なんです。
まだ家具の値引き販売が主流の時代で、この価格戦略は画期的だった。それまでの客の様子によって表示価格の2割引にしたり、3割引にしたり、ころころ変えていた。だがある客が「隣の人が3割引で、こちらが2割引はおかしい」と講義をし、返品してきた。確かに不公平なので、見直すことにした。とにかく一本価格で安さを追求することにした。他と同じことをやっていては生き残ることはできない。
一度オープンした出店先の街は5年、10年もたてば、人口や社会インフラなども変わってくる。このため顧客が集まりやすい場所に移転するなど、リセットする。ニトリが成長しているのは店舗の若さを保っているためだ。通常のチェーン店は利益が出ていると、移転や拡張投資は後回しにしてしまう。先手を打って、時代の変化に対応しておくことが成長を続ける条件と言っていい。
など驚くほどの失敗も多く繰り返しているのですが、手探りで新しい家具のあり方を模索した結果なのかもしれません。似鳥氏にとって「あたりまえ」ということばは邪魔だったのでしょう。
成長を続けるために行動です。そして、人と同じことではなく違うことを行う。単純にこの作業を繰り替えしてきた人なんです。
教育の投資を惜しまない
先ほど書いた自分への投資もそうですが、似鳥氏は教育がどれだけ大事なのか理解しています。
(前略)このため米国視察を含め、教育投資だけは惜しまない。一人あたりの年間教育投資額は約25万円で、上場企業の平均額より5倍は多いと思う。設備投資よりこちらの方が大事だ。経営環境が厳しい時、教育費を削る企業は長期的に衰退する。
素晴らしいですね。一人当たりの年間教育費25万円はすごいですね。というより上場企業がこれの5分の1というのもなんともはや情けない。
投資を行う中で一番大事なのが教育だと思います。目先の利益や変化だけを望めばそれは仮の力でしかないですから。やはり企業を育てるのは教育であり、人ということでしょう。
月見的(@tuki_mizu)見解
いやー、ただの自伝本じゃないですよこれ、眼から鱗のストーリーが随所に輝きます。
考えてみるとたった一人の人生なんですがね。やはり学ぶべきは先人の知恵です。
人は人からしか学べません。
それでは、月見水太郎(@tuki_mizu)でした。